2010年03月30日 [最新ニュース]
Q&A With the Fender Custom Shop’s Mike Eldred
マーケティング・ディレクターのマイク・エルドレッドが世界有数のピックアップ・メ
ーカー、セイモア・ダンカンのウェブサイト内で展開している特設サイト“ゲスト・ル
シアー・シリーズ”にゲストとして参加した。このサイトには、これまでにギターメ
ーカーのスタッフやイングウェイ・マルムスティーンがゲスト参加している。そこで
質疑応答が行われ、私たちが日頃ギターに対して抱いている疑問についてコメ
ントした。今回はその一部を紹介しよう。
※ゲスト・ルシアー・シリーズは英文サイトです。参加するためにはログインが必
要となります。

Q: カスタムショップでのギター製作において自社製ピックアップを搭載する
のか、それともダンカンのような他社製の個体を搭載するのか、決定までの
過程を教えていただけますか?
ME: プレイヤーなら誰しもが自分のギターに秘めた可能性を引き出すために色々
と試したいと思う事があるでしょう。ピックアップとは、そういった要素の一部分だと
思っています。フェンダーも含め、究極のピックアップというのは存在しないのかもし
れません。だから素晴らしいピックアップが次々と出来上がるし、私たちはそれらの
中から気に入ったものをチョイスできるのです。もちろん、ダンカン(製ピックアップ)
は大好きで、カスタムショップでもこれまでにいろいろなギターに搭載してきました
よ!でも、私たちは”カスタムショップ”ですので、カスタマーから特定のピックアッ
プ・メーカーを指定された場合は、その指示通りに進めています。
Q: 複雑なことをものすごく簡単に言ってほしいような質問なのですが、例え
ばブリッジはすべて同じ品質であると仮定して、フローティングさせない状
態での6点支持(ブリッジ)と2点支持とでの音の違いはありますか?
ME:うーん、音的な違いを説明するのは難しいですね・・・例えばストラトキャスター
・プロに使っている2点支持のブリッジは、(6点支持の)ヴィンテージ・トレモロとは
材質が違います。ヴィンテージ・スタイルは、スチールをベントしたサドルとCRS(
冷延鋼板)ブロックでできていますが、ストラト・プロはミル加工したステンレス製サ
ドルとヴィンテージよりも小さめのCRSブロックでできています。(ヴィンテージの)
ベント・サドルはそんなに質量はありませんがブロック(の質量)は大きい。一方、
ストラト・プロのサドルはややブライトな音質を特徴としていますが、(トレモロ・)ブ
ロック(の質量)は小さい。複数のパーツが一体化したときの総合バランス的なもの
だと思うし、その人にとっての聞こえ方、好みにも左右されるでしょう。
Q: ここで少しベースの質問にいきましょう。過去に著名アーティストへのカ
スタム・ベースを製作したことはありますか?あった場合、誰のが一番気に
入ってますか?
ME: ピノ・パラディーノ、すごいベースですよ!
Q: 近い将来、カスタムショップでB-ベンダーを搭載したテレキャスターを製
作する企画はありますか?アーティスト系ではなくて、カスタムショップのラ
インナップとしてスタンダード的な・・・
ME: フェンダー・バージョンのB-ベンダーは使っていますよ、実際のところあまり
依頼は来ませんが。以前マーティ・スチュアート・テレを製作したときにこのオプショ
ンを提案したのを覚えています。マーティ曰く、“僕と他にも6人くらいのやつらで使っ
ているよ”と言っていましたよ。 おもしろいですね。
Q: お客様がカスタムショップへ期待する高水準な対応に何か特別なプレッ
シャーを感じていますか?それとも、それはノーマル業務としてこなしてい
ますか?
ME: この仕事は、間違いなくノーマルな仕事ではないと断言します(笑)。たまにう
んざりすることもあるけど、“お客様がカスタムショップへ期待する高水準な対応に
何か特別なプレッシャー”を感じるほどではないですね。
私たちにはある決まり事があります、フェンダーの一員としてのね。そして私たち
にはフェンダーの歴史を背負う使命があります。それはとてもはっきりしていて、誰
もが強い熱意をもって追求している。 陳腐に聞こえるかもしれないけど、本当の話
です。誰もCBS時代のことは思い出したくはないと思っているでしょう。カスタムショ
ップだけではなく、フェンダーに従事する全てのスタッフが企業として行っていること
を信頼してくれる大勢の人とその家族がいるからこそ、スタッフ全員が現在担当し
ている仕事に真剣に集中して取り組んでいるのです。つい先日、ビル・メンデロ(現
フェンダー社CEO)とビル・シュルツが CBS からフェンダーを買い戻した“記念日”を
祝福したばかりでしたが、最高の一日でしたよ!
Q: フェンダー・エンドース・アーティストがカスタムショップ製のギターを少
なくとも1本もらえる特権を与えられるというのは本当ですか?
ME: それは違います。確かにカスタムショップ・アーティストに対してギターを提供
する場合もありますが、通常のシグネイチャー・アーティストに対しての提供は行っ
ていません。
Q: あなたが過去に仕事した一番のお気に入りのアーティストはどなたです
か?そして、その方のどういったところが好きですか?
ME: わからないな。みんなすごいよ。(ビリー・)ギボンズも(ジョン・)メイヤーもいい
友人だし、(エリック・)クラプトンもとても素晴らしい人物です。(ジェフ・)ベックは彼
の家で僕にコーヒーをつくってくれた事がありました。ロバート・クレイはもしかしたら
今まで会った人の中で一番ナイスな人かもしれません。僕らと仕事している有名人
は沢山いますが、ロックスターを気取っている人は一人もいません。ものすごいやつ
らばかりです。今度Dean Fearingって検索してみてください、彼も親友のひとりです。
Q: CBS(時代の)ヘッドはどう思われますか?
ME: ラージ・ヘッドは好きですね。見た目もカッコいいし、何よりも・・・ヘンドリックス、
ブラックモアの印象が強烈ですね !!!
Q: 究極にアップグレードされたストラトキャスター(もしくはテレキャスター)
とはどういうものだとお考えですか?
ME: 究極の?うーん、どうして欲しいかによるでしょうね。カスタムショップでは、ア
ーティストから要求されたあらゆる特徴を取り入れたギターをそれぞれストラト・プ
ロとテレキャスター・プロとして製作していますが、これらはなんと言ってもマスター
ビルト・ギターとすることなく沢山の素晴らしい特徴を持ち合わせています。
Q: どうしてカスタムショップ製ギターのネックはいつも的確(正確?)なので
すか?
ME: そういってくれてありがとう。プレイしてくれる人がいるからこそ、そう感じてくれ
ていると思います。僕たちもギターが大好きで、仕様のひとつひとつをとても大事
に思っています、特にネックは直接手に感じる箇所ですから特に気にかけています
。
Q: もしネックの仕様を細部まで拘るのであれば、それはチームビルトよりも
むしろマスタービルトになるのでしょうか?
ME: お客様がどういう仕様ネックを求めているかにもよりますが、シェイプやカラー
だけの変更であれば問題ないでしょう。より多くの拘りを形にしたものがマスタービ
ルト・ギターとなる訳です。
Q: 過去に受注された最も驚異的なギターは何でしたか?
ME: The Guitar World主催の “Design Your Own Strat” (ストラトを自由自在にデ
ザインしてみよう)コンテスト優勝者のギターを手掛けたときですね、あれは悪夢で
したよ。アルミ・ボディを持ってありとあらゆるカラーを手にしてブースに閉じこもりま
したが、最終的にウーバー・ビルダーのスコット・ビューエルに頼むしかありません
でした。その時のムービーがまだどこかにあると思います。
Q: 先にフェンダーとその伝統に対して“歴史を背負う使命がある”と言って
いましたが、フェンダー製品のこれからの改革と成長において、その『使命
』が何らかの妨げになると思いますか?他メーカーが同じことをしているの
とは対照的に、フェンダーがストラトらしからぬギターをつくることはシーン
に受け入れられない気が・・・
ME: そんなことはありません。フェンダーは絶えず躍進し革新的に伸びてきたし、
むしろやらなければならないと感じています。『使命』というのはこういうことです・・・
まわりが皆フェンダーを注目していてフェンダーについて語る。それは50年代、60年
代、70年代、80年代・・・と続いている、そして今でもそうです。だから私たちは常に
何か新しい楽器をつくり続けなければなりません。そういう限界に挑戦しつづけるよ
うな・・・ギターだけでなくアンプもそうです。
Q: カスタムショップへよく依頼される楽器が、フェンダーが今生産している
ラインのあり方(お手本?)を示していると感じますか?また、カスタムショッ
プで製作される楽器は、(カスタム以外の)フェンダーで生産される楽器とは
何らかユニークな特徴をもっているのでしょうか?それとも単にアーティスト
やカスタマーがよりこだわりをもって最高品質のものを求めているのでしょう
か?
ME: その通り。カスタムショップでやっている事がレギュラー・ラインにフィードバッ
クされている、これはフェンダーの歴史のあり方だと言えるでしょう。しかし、カスタ
ムショップとレギュラー・ラインの製造工程は異なっている。機械や技術については
カスタムショップの方がよりオリジナルの手法を踏襲しています、だから時間も余計
にかかります。楽器の構造についても同じです。“最高品質”そのものというよりは、
単に細かい部分に対する拘りの積み重ねだと思っています。構造、仕様、時間―
これらの要素が加味されたのがカスタムショップ(・ギター)だと云えるでしょう。
Q: あなたが若い頃最も目に焼きついた最初のギタリストはどなたですか?
ああなってみたい、というような。今でもそうさせているギタリストはいま
すか?
ME: スコッティ・ムーアだね、その後はリッチー・ブラックモア。今では・・・ジェフ・ベ
ックかな、彼は宇宙人だよ。
Q: これまで手掛けた著名プレイヤーのギターで一番印象に残っているのは
どのギターですか?その理由は?
ME: ウッド・ストック・ストラトキャスター(ジミ・ヘンドリックスが1969年のウッド・ス
トック・フェスティバルでプレイしたストラトの完全復刻器でエルドレッドによって4本
のみ製作)ですね。今でもずっと頭に残っています。このギターを製作した時は一
晩中ビデオを見ていましたよ。ネックをはずしたら、ネックプレートの裏に汗の跡が
残っていました。信じがたい事実でしたね。
Q: また、今まで一番難しかったのは?
ME: 難しかった楽器ですか?SRV(スティーヴィー・レイ・ヴォーン・トリビュート)か
ロリー(・ギャラガー・ストラトキャスター)でしょうか。 本当に苦労しましたよ。
Q: フェンダー・スタイル・ネックのトーンについて、あなたの経験測からコメ
ントをお願いします。1ピース(スカンク・ストライプ)と2ピース(スカンク・スト
ライプなし)、その他比べて?
ME: 2ピースの方がよりブライトです。指板を貼り合わせる事によって、強度が増し
ます。
Q: メイプルとローズウッドでは?
ME: ローズウッドはメイプルに比べて少し暖かみのあるトーンになります。今カス
タムショップで一番お薦めしたいローズウッド材はインディアンですね、素晴らしい材です
よ。
Q: (~’62) スラブ・ボード指板と(’63~)ラウンド・ボード指板とでの違いは
あるとお考えですか?
ME: スラブ・ボードの方がより暖かみがあり、ラウンド・ボードはよりブライトな印象
を受けます。どちらも素晴らしいと思います。カスタムショップが注意を払う事があ
るとすれば、製作する楽器がどの年代をベースになっているかという事くらいでし
ょうか。あと、軽いボディにスラブ指板を組むと低域が必要以上に強調されてしま
います。もし、中高域を求めるのであれば、この組み合わせは個人的にはあまり
お薦めできません。

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