


フェンダーカスタムショップでは、ボディ、ネック、いずれの木材においてもフェンダー製品のなかで最もグレードの高い材を選定している。だからこそ、言葉には表すことのできない極上の弾き心地が得られるのである。
フェンダー製品に使用される木材は、メイン工場であるコロナ、エンセナダ両工場においてフェンダー社が指定した木材業者から仕入れを行っている。ログ(丸太)の状態で、フェンダー社が設定した基準に基づき、カスタムショップ用、レギュラー用、エンセナダ工場製品用とグレーディングされている。つまり、カスタムショップ製品は専門業者によって選定されたログが使用されるという事になる。
さらに、カスタムショップ製品は使用する木材の部位までもが細かく指定されている。上図はログの断面図である。図中の青色の部分はログの中でも最も高品質とされている部分であり、この箇所のみをカスタムショップ製品に使用している。
赤色で示したレギュラー用の部分も高品質ではあるが、2ピース※ではボディ幅がとりきれない場合があるため、3〜5ピースに加工した状態で使用される事もある。
カスタムショップ用のログでも特に直径の大きいものは1ピースボディ用として使用することがある。しかしこういったケースは非常に稀で、ここ最近は年間で20本分くらいしかとれないという。主にテレキャスターのボディ材として使用されているアッシュ材ですらも年間100本分くらいである。
木材は供給業者にて板状に加工された後、工場へ入荷される。全ての材の重量のチェックを行った後、カスタムショップ専用の機械によってラフにカットされる。ボディ形状がモデルによって細かく指定されているカスタムショップ製品に使用されている機械は、一度に多く加工ができるレギュラー製品のそれとは異なっているが、ネックに関しても同様である。
※ピース=フェンダーにおいてボディが幾つの木材によって構成されているか表現する際に用いる呼称

フェンダーカスタムショップ製品のボディ材として使用されている代表的なものとしてアルダー(Alder)が挙げられる。
日本名で“ハンノキ”とも呼ばれるこの樹木は、1956年中頃よりブロンドカラー以外のストラトキャスターに採用されたのを契機に、その後テレキャスター、ジャガー、ジャズマスター、ジャズベース等のフェンダーブランド上位機種に広く使用されることとなる。アルダーのボディは程よくバランスの取れたトーンが得られる点が特徴である。
フェンダーカスタムショップでは、アメリカ北西部のオレゴン州またはワシントン州より入手している。
また、アルダーと並び多く使用されている木材としてアッシュ材(Ash)がある。アルダーと比較すると、原木は白っぽく総じて密度が高く硬めな木材だ。アッシュ材はフェンダーでは1956年中頃までのギター、ベースに使用されており、カスタムショップ製品においても当該年代のリイシューモデルにおいて使用されるケースが多い。
木目がタイトで重めのアッシュは、ノーザンアッシュもしくはホワイトアッシュとも呼ばれ、楽器以外にも家具や野球のバット等の原材料として使われている。対して比較的加工が容易なアッシュは、スワンプアッシュまたはブラックアッシュとも呼ばれている。フェンダーでは、アラバマ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州あたりのアメリカ南東部から入手している。
フェンダー製品のネック部の木材は主にメイプル(Maple)が使用されている。1950年代には貼り合せをしない、いわゆる1ピースメイプルと呼ばれる製法を取っていたが、1958年半ばから指板部に茶色系のローズウッドを配するようになる。指板の貼り合せについては、1962年半ばまでは接地面が平らないわゆる“スラブボード”仕様で、それ以降は“ラウンドボード”と呼ばれる接地面が曲線状になっている仕様を採用している。メイプルには、フレイム(トラ杢)やバーズアイ柄の杢が出ている個体もあり、とりわけフレイム・メイプルはボディトップ材に使われることもある。

